『東証なう』に書いたが、今週水曜日に、Vtuber業界最大のプロダクション『にじさんじ』の親会社”Anycolor"が新規上場される。
◆そこで、Vtube業界の創成期からの流れなど見ておこう
バーチャル・ユーチューバの歴史は、2016年11月29日の『キズナアイ』に始まる。
2017年、『ピーナツくん』『ときのそら』『シロ』『ミライアカリ』『ねこます』『輝夜月』『富士葵』などがデビュー(太字が四天王)。(活動開始順で並べています)
2018年初め(2月まで)には、『ぽんぽこ』(ピーナッツくんの妹で兄に強引にデビューさせられる)『月ノ美兎』『樋口楓』『猫宮ひなた』『える』『オメガシスターズ』などがデビュー
もう少し先にデビューするVtuberも含めるが、彼らは『いにしえの民』と呼ばれる。
一方、色々なグループが、2017年慌てて、プロダクション組織を作って、2018年3月に動き出す。3大プロダクション『にじさんじ』『ホロライブ」『ドットライブ』がそれである。
それらプロダクションは、まずは、核になる人気Vtuberの獲得に動きだした。
『にじさんじ』は『月ノ美兎』を軸に『樋口楓』『える』、『ホロライブ』は『ときのそら』に目をつけ、彼女を中心に、『ドットライブ』は、毎日投稿を続ける『シロ』を見つけ、声をかけ、活動を開始する。
『シロ』は配信で「一人で頑張って毎日投稿をして、大変な日々を過ごしていた。ある日、連絡が入った。救世主が現れたと思った」と、その様子を語っている。
『シロ』は小さいとき父親の関係でドイツで育った。とても頭が良く『ガリベンガーⅤ』第1回で、他のVtuberの世話やTVスタッフとのやり取りで撮影をスムーズに運ばせたこともあり、スタッフから信頼された。これにより、当初3Vを回ごとに変える方針だった『ガリベンガーⅤ』は、シロをレギュラーとすることを決め、今に至っている。
2018年3月、3大プロダクションによる、オーディションが、Vtuberを創り上げるため、次々と開かれていった。いわゆる1期生探しである。
一方、個人勢も頑張っていた。UPD8(アップデイト)が、2018年5月から、個人Vtuberに無料・実費で、技術提供、種々の相談に乗り、仕事の斡旋までしてくれた(企業側から斡旋料を取って、Vtuberからはとらなかった)。その恩恵を受けたのが、『キズナアイ』『おめシス』など。グループでも『アニマーレ』『ハニートラップ』などが所属していた。個人勢・小グループの大きな後ろ盾であり、多くのVtuberがここから育っていった。
個人勢で異色なのが2018年3月デビューした『ヒメヒナの田中ヒメ』(『ヒメヒナ』は『鈴木ヒナ』の体制が整った5月から) おっと、この話を書くと、押しのこともあって、多分、1000字2000字どころでは終わらないので、別に書くことにするが、とにかく、スタッフの集まり方、制作活動、ファンとの接し方など陰で他のVtuberに影響を与えることになるVtuberだったので、いずれ書きます。
◆Vtuberの中身
ちなみに、このあたりまでにデビューしたVtuberの多くが、ゲーマー、ネットオタク、歌手希望、バンドメンバー等、また、プログラマー、コンピュータ技術者等やイラストレーターが自分でも、と参入したケースも多かった。当然、中には引きこもりもいたし(学校に行っていないV) 、何か(音楽等)に熱中し、学校では勉強しないVが多く、おバカキャラが普通であった。
この時代、何をやっても許されていて、YouTubeくんにBUNされない限り、いや相当数BUN されているが(ミライアカリはBUNされる言動が多いとコラボするとき、Vから警戒されていた )、それも学習して、ぎりぎりの内容で配信しているので、面白さが違った。それも、自然な面白さで、TVのような、さあ笑えというような押しつけがましい創ったものではなく、本当に自然に笑えたのが良かった。現在、オーディションで選ばれた優等生が多く、プロダクションの指導も厳しく、面白みが減衰している。
当時(今もいるが)、漢字が読めないのは当たり前、九九が出来れば優等生。意外と、Vtuberには九九ができない子が多い、特に7の段。物を知らない子も多い。だからと言って、Vtuber界では、バカにしない。視聴者も暖かく見守る。まるで母親の様に。学校に行っていない子が多いこともあるが、中には発育の遅い子もいる。だが、その子の間違いを、他のVtuberはフォローする。あるVが、雑談配信で、こんなことができるようになったとお父さんが泣いたと話した。本人は、普通のことと思って話しているのだ。視聴者は、そんなことができて偉いとか、お父さん孝行で偉いとか、暖かい言葉を投げかける。非常に暖かい世界なのである。
お約束事もある。Vtuberが、設定を決めると、知っていても、知らないふりをして、乗ってあげる。例えば、『めぐ』ちゃんが朝配信で『お天気お姉さん』の設定をしているが、それに、ちゃんと『お天気お姉さん』にのってあげる。そのやりとりを視聴者は楽しんでいるのである。もっとも、Vtuberも知られていることは承知で全体の構成を楽しんでねと言う姿勢なのである。
◆Vtuber界のその後
2018年12月には、大手音楽プロダクションAVEXが、すでに活動開始していた『奉天まひろ』を軸に、新しく3人を追加して、新グループ『まりなす仮』結成させデビューさせ、Vtuber業界に参入してきたた。
2020年4月 『キズナアイ』upd8から抜ける
2020年5月 『アニマーレ』『ハニートラップ』もupd8から抜けて、合流し、『774inc』に統一して活動開始。
2020年12月 UPD8が活動停止、個人勢の支援する団体がなくなる。ここが転換点となる
2021年から、Vtuber業界は、新時代に入る。
こうして、Vtuberに業界は、今、資金・技術者集団等組織を大きくすることが始まっていて、大きく変革しようとしている。『ヒメヒナ』もこの5月株式会社『Studio LaRa』になった。